長時間労働は心房細動の発症リスクを上げますか?

長時間労働は心房細動発症リスクを高めますか?

私的背景

メインブログでも前に書いたことがあるネタですが、新しく論文を発見したので書いていこうと思います。

■目次

論文タイトル:Long working hours as a risk factor for atrial fibrillation: a multi-cohort study

Mika Kivimäki Solja T. Nyberg G. David Batty Ichiro Kawachi Markus Jokela Lars Alfredsson Jakob B. Bjorner Marianne Borritz Hermann Burr Nico Dragano … Show more
European Heart Journal, Volume 38, Issue 34, 7 September 2017, Pages 2621–2628, https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehx324

PMID: 28911189

DOI: 10.1093 / eurheartj / ehx324

全文リンク

背景

研究によると、長時間働く人は脳卒中のリスクが高くなる。

しかし長時間労働と心房細動(最も一般的な心臓不整脈や脳卒中の危険因子)との関連は不明である。

長時間(週55時間以上)働く者と、標準時間(週35-40時間)働く人の心房細動のリスクを調べたマルチコホート研究

方法

研究集団は心房細動の既往記録がない85,494人の働く男性および女性(平均年齢43.4歳)。

作業時間は、研究ベースライン(1991-2004年)で評価された。

心房細動の平均経過観察期間は10年。

症例の定義は、心電図、病院記録、薬物払戻レジスター、死亡診断書のデータを用いた。

結果

心房細動の新規症例は1061例(10年累積発生率12.4 / 1000)。

年齢、性別および社会経済的状態を調整した後、長時間働く個人は、標準時間労働者に比べて心房細動リスクが1.4倍高かった

ハザード比 = 1.42 , 95%CI = 1.13 – 1.80 、 P = 0.003

 

肥満、危険なアルコール使用、高血圧などの潜在的交絡因子の調整は、この関連にほとんど影響を与えなかった。

➡There was no significant heterogeneity between the cohort-specific effect estimates (I2 = 0%, P = 0.66) and the finding remained after excluding participants with coronary heart disease or stroke at baseline or during the follow-up (N = 2006, hazard ratio = 1.36, 95% CI = 1.05–1.76, P = 0.0180). Adjustment for potential confounding factors, such as obesity, risky alcohol use and high blood pressure, had little impact on this association.

結論

長時間労働者は標準時間労働者に比べて、心房細動に発症する可能性が高くなる傾向がある

問題の定式化

  • P 心房細動の既往記録がない85,494人の働く男性および女性(平均年齢43.4歳、男性34.5%)
  • E 長時間労働(週に55時間以上働く)
  • C 標準時間労働(週に35時間~40時間働く)
  • O 心房細動の発症リスクが増すか

チェックポイント

研究対象集団(PECOの”P”)の代表性:外的妥当性が高いか?つまり一般人口に研究対象集団が近いか?

 ➡ 研究対象者の社会的ステータスも分類されており、標準化はされていると思われる。よって外的妥当性は高いと考えた

交絡への配慮は?

 ➡  肥満、危険なアルコール使用、高血圧などの潜在的交絡因子の調整は、この関連にほとんど影響を与えなかった。と本文にあり、交絡もきっちり考えて結果を算出している。

 

感想など

長時間労働は心房細動発症のリスクを高める傾向にありそうです。

週55時間働く人がリスクを高めそうというのなら、標準は40時間/週の労働時間が一般的なので計算すると週当たりの残業時間が15時間以上は危ないかもしれないって事になりそうですね。

1日当たりやと何時間労働でリスクは増えるの?とか、月間やとどれ位の労働時間から危ないんでしょう?

今後もこの手の論文って出てきそうですね。

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