ダイエットしたら発症した糖尿病が改善する可能性がありますか?

糖尿病にはダイエットが有効?

私的背景

体重コントロールをすることによって、血糖コントロールを良好に保てるというイメージは学生の頃より持っていますが、

ふくよかな体型から痩せることによって糖尿病自体が寛解することなんてあるのでしょうか?

おもしろい論文があるのでザクっと要約して紹介します。

■目次

論文タイトル:Primary care-led weight management for remission of type 2 diabetes (DiRECT): an open-label, cluster-randomised trial

Lancet. 2017 Dec 4. pii: S0140-6736(17)33102-1. doi: 10.1016/S0140-6736(17)33102-1. [Epub ahead of print]

PMID: 29221645 DOI: 10.1016/S0140-6736(17)33102-1

全文リンク

Background:背景

Type 2 diabetes is a chronic disorder that requires lifelong treatment.

2型糖尿病は、生涯にわたる治療を必要とする慢性疾患である。

We aimed to assess whether intensive weight management within routine primary care would achieve remission of type 2 diabetes.

日常のプライマリケアにおける集中的な体重管理が2型糖尿病の寛解を達成するかどうかを評価することを目指しました。

Methods:方法

We did this open-label, cluster-randomised trial (DiRECT) at 49 primary care practices in Scotland and the Tyneside region of England.

我々は、スコットランドおよびイングランドのTyneside地域における49のプライマリケアプラクティスで、このオープンラベルのクラスター無作為化試験(DiRECT)を行った。

Practices were randomly assigned (1:1), via a computer-generated list, to provide either a weight management programme (intervention) or best-practice care by guidelines (control), with stratification for study site (Tyneside or Scotland) and practice list size (>5700 or ≤5700).

Practices(👈これうまく訳せないです。)は、コンピュータ作成リストを使用して無作為に割り当てられ(1:1)、体重管理プログラム(介入)またはガイドラインによるベストプラクティスケア(対照)、試験場(Tynesideまたはスコットランド)の層別化および練習リストサイズ(> 5700または≤5700)。

Participants, carers, and research assistants who collected outcome data were aware of group allocation; however, allocation was concealed from the study statistician.

結果データを収集した参加者、介護者、研究助手は、グループの割り当てを認識していた。しかし、配分は研究統計学者から隠されていた。

We recruited individuals aged 20–65 years who had been diagnosed with type 2 diabetes within the past 6 years, had a body-mass index of 27–45 kg/m2, and were not receiving insulin.

私たちは、過去6年間に2型糖尿病と診断され、体格指数が27-45kg / m2であり、インスリンを受けていない20-65歳の人を募集しました。

The intervention comprised withdrawal of antidiabetic and antihypertensive drugs, total diet replacement (825–853 kcal/day formula diet for 3–5 months), stepped food reintroduction (2–8 weeks), and structured support for long-term weight loss maintenance.

介入は、抗糖尿病薬および抗高血圧薬の撤退、全食事代替(825-853kcal /日のフォーミュラ・ダイエット3~5ヶ月)、段階的な食品の再導入(2-8週間)、および長期的な体重減少の維持のための構造化サポートを含んでいた。

Co-primary outcomes were weight loss of 15 kg or more, and remission of diabetes, defined as glycated haemoglobin (HbA1c) of less than 6·5% (<48 mmol/mol) after at least 2 months off all antidiabetic medications, from baseline to 12 months.

主なアウトカムは15kg以上の体重減少であり、6・5%未満(<48mmol / mol)の糖化ヘモグロビン(HbA1c)と定義される糖尿病の寛解は、すべての抗糖尿病薬から少なくとも2ヶ月後、ベースラインから12ヶ月後まで。

These outcomes were analysed hierarchically.

これらの成果は階層的に分析された。

This trial is registered with the ISRCTN registry, number 03267836.

このトライアルはISRCTNレジストリ番号03267836に登録されています。

Findings

Between July 25, 2014, and Aug 5, 2017, we recruited 306 individuals from 49 intervention (n=23) and control (n=26) general practices; 149 participants per group comprised the intention-to-treat population.

2014年7月25日から2017年8月5日まで、私たちは、49の介入(n = 23)および対照(n = 26)の一般的なプラクティスから306人を募集した。 1グループあたり149人の参加者が治療意図の集団を構成した。

At 12 months, we recorded weight loss of 15 kg or more in 36 (24%) participants in the intervention group and no participants in the control group (p<0·0001).

12カ月後に、介入群の36名(24%)に15kg以上の体重減少が認められ、対照群には参加者はいなかった(p <0・0001)。

Diabetes remission was achieved in 68 (46%) participants in the intervention group and six (4%) participants in the control group (odds ratio 19·7, 95% CI 7·8–49·8; p<0·0001).

糖尿病寛解は、介入群の参加者68名(46%)および対照群の参加者6名(4%)で達成された(オッズ比19.7,95%CI 7.8 – 49.8 ; p <0.0001)

Remission varied with weight loss in the whole study population, with achievement in none of 76 participants who gained weight, six (7%) of 89 participants who maintained 0–5 kg weight loss, 19 (34%) of 56 participants with 5–10 kg loss, 16 (57%) of 28 participants with 10–15 kg loss, and 31 (86%) of 36 participants who lost 15 kg or more.

寛解は、研究集団全体の体重減少に伴って変化し、体重を増やした76人の参加者のいずれも達成されなかった。

体重減少率0-5 kgを維持した89人の参加者のうち6人(7%)、体重減少が5-10 kgであった56人の参加者のうち19人(34%)、体重減少が10-15 kgであった28人の参加者のうち16人(57%)、体重減少が15kg以上であった36人の参加者のうち31人(86%)において糖尿病寛解が達成された。

Mean bodyweight fell by 10·0 kg (SD 8·0) in the intervention group and 1·0 kg (3·7) in the control group (adjusted difference −8·8 kg, 95% CI −10·3 to −7·3; p<0·0001).

平均体重は、介入群では10.0kg(SD 8.0)​​、対照群では1.0kg(SD3.7)減少した(調整差-8.8kg、95%CI -10.3〜 7.3; p <0.0001)。

Quality of life, as measured by the EuroQol 5 Dimensions visual analogue scale, improved by 7·2 points (SD 21·3) in the intervention group, and decreased by 2·9 points (15·5) in the control group (adjusted difference 6·4 points, 95% CI 2·5–10·3; p=0·0012).

EuroQol 5 Dimensionsの視覚アナログスケールで測定された生活の質は、介入群で7.2ポイント(SD 21.3)改善し、対照群では2.9ポイント(15.5)減少した(調整差6.4点、95%CI 2.5 – 10.3; p = 0.0012)

Nine serious adverse events were reported by seven (4%) of 157 participants in the intervention group and two were reported by two (1%) participants in the control group.

介入群の157人の参加者のうち7人(4%)で9件の重篤な有害事象が報告され、対照群の参加者2人(1%)から2例が報告された。

Two serious adverse events (biliary colic and abdominal pain), occurring in the same participant, were deemed potentially related to the intervention.

同じ参加者に発生した2つの重篤な有害事象(胆汁疝痛および腹痛)は、潜在的に介入に関連していると考えられた。

No serious adverse events led to withdrawal from the study.

重篤な有害事象は研究からの離脱につながりませんでした。

Interpretation

Our findings show that, at 12 months, almost half of participants achieved remission to a non-diabetic state and off antidiabetic drugs.

私たちの知見は、12ヶ月で、参加者のほぼ半数が非糖尿病状態への寛解と抗糖尿病薬からの寛解を達成したことを示しています。

Remission of type 2 diabetes is a practical target for primary care.

2型糖尿病の寛解は、プライマリケアの実用的な標的である。

Funding

Diabetes UK.

感想など

薬物治療によるものではなく、体重減少によって糖尿病が寛解するかもしれないという結論はなかなか興味深いなぁ~と思います。

食事療法と運動療法が大事!と学生時代からずっと聞いていましたけれど、つまりは痩せれば糖尿病の寛解につながる可能性があるからやっ!っていう感じでしょうか。

しかし、痩せていて2型糖尿病の人はどうしたらいいんでしょうね?15kg以上痩せたらただのミイラです・・・。

ひとまず、ふくよかな方で2型糖尿病を発症した場合には、ダイエットが効果的?と示唆されたかなぁという印象です。

いやはや、面白い。

4 COMMENTS

関西の薬学生

いつも勉強させていただいてます!
実務実習でメトグルコの服薬指導をさせていただいたときに患者さんから質問されたことなのですが、一日投与量が同じの場合、一日二回と三回では治療効果に差はあるのでしょうか?
メトホルミンの半減期はとても短いので三回の方が良いような気もしますが、エビデンスがあればぜひ教えていただきたいです!

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けいしゅけ

関西の薬学生 様
コメントありがとうございます。
メトホルミンの用法によるアウトカムの違いを検討した論文を探したことがありますが、今のところ見つけられていません。
海外ではメトホルミンの徐放錠があるようなので、速報錠の用法によるアウトカムの検討をする必要がないからかも知れません。

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関西の薬学生

回答ありがとうございます。
臨床上のすべての問題についてエビデンスとなる情報がないのは少し歯痒い感じがしますね…。
これからビッグデータ解析がもっと進歩すればエビデンスの量も増えていくのでしょうか。

もう一つ質問なのですが、けいしゅけさんは論文を読む英語力をどのようにして養ったのでしょうか。
とりあえず辞書片手に気になる論文を読んでいって単語や文法を覚えていったのか、別で英語の教科書や単語帳などで学びながら論文を読んでいったのかどちらなのでしょうか。
やはり、私は論文を読む際に英語がネックになってしまいます…。
私も薬剤師になったら臨床上の問題に対して様々なエビデンスを駆使して挑んでいきたいと思うので、是非教えていただけるとありがたいです。

返信する
けいしゅけ

関西の薬学生 様

返信が遅くなってしまって本当にごめんなさい。
英語力をどのようにして養ったのか?についての質問についてお答えしたいと思います。

結論をまずいうと、英語力を養うために僕がしたことは以下の2つです。
【①文章の構造が掴めるようになることと、②知っている単語量を増やすために英文にひたすら触れ続ける事。】

僕の場合は、浪人生だった頃の英語の授業が最も影響が大きいです。
英語の構文を理解できるようになったんです。

文章はS+V、S+V+C、S+V+O、S+V+O+O、S+V+O+Cの5文型どれかに当てはまる事は知っていると思いますが、これの徹底的な理解が僕にとっては最も英語克服に役に立ちました。

文型を学ぶ上で大事だなと思ったのは、名詞(名詞として扱える単語群)と動詞(自動詞と他動詞)を区別する事でした。

名詞は単語だけではなく、
・動名詞(動名詞になっている動詞が他動詞なら【V+O(動詞+目的語)】の塊が【~を○○すること】と訳せて全体が名詞になります)
・[that+文章] 例:I think that it is true. 私は【それは正しい(という事)】を考える➡私はそれは正しいと思う。
が【名詞の塊】になること。

そしてそれが主語S:Subjectになったり、目的語O:Objectになったり、補語C:Complementになったりすること。
これがわかるだけでかなり文章のカタチがわかるので日本語に訳しやすくなるんです。

構文が捉えられるようになれば、最終的には単純に英単語をどれだけ知っているかどうか?になってきました。

これはGoogle翻訳などのWeb翻訳機能があるので、わからない単語があればその都度調べられるので調べています。僕はメディカル英単語はホンマに知らないので毎回めっちゃ調べています(笑)

けど、面白いことに興味がある事柄ですし、しょっちゅう読んでいるからでしょうか最近はなんとなぁく覚えてきてしまっています。

結局のところ、文章の構造が掴めるようになることと、知っている単語量を増やすために英文にひたすら触れ続ける事。
これが僕の英語学習方法だったなぁと思います。

参考になるかはわかりませんが、このようにして僕は英語を学びました。(って言ってもGoogle翻訳めっちゃ使ってますし、ペラペラしゃべれるわけではないですよ!!ひとまず、書いている英文を理解できるかなぁというレベルです。)

・・・散文的になりましたが、いかがでしょうか??もし他に質問などあればいくらでもお答えしますね☆

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